こんにちわ、彷徨うPTです。今回は「脳卒中患者におけるRaven’s Colored Progressive Matrices(RCPM)とMini-Mental State Examination(MMSE)成績がADL改善に与える影響」の要約と僕の考察をまとめました。
今回読んだ文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/38/1/38_10329/_article/-char/ja/
目的
認知機能の低下がADL改善の阻害因子となるとの報告は多くみられるが、これらはMMSEやFIMの認知項目を用いており、非言語性知能を十分に評価しているとは言い難い。そこで入院時にMMSEとRCPMを評価し、両者の得点がADL改善に与える影響について検討した。
対象
回復期リハビリ病棟に入院した脳卒中患者164名
方法
本研究対象に対して、「基本情報」「身体機能」「視空間認知」「言語機能」「認知機能」を評価
〇基本情報
年齢、性別、診断名、病巣側、発症から当院入院までの期間、当院回復期リハビリ病棟入院期間、理学療法・作業療法・言語療法・の平均訓練単位数
〇身体機能
SIAS、入退院時のFIMの運動項目(FIM-M)
〇視空間認知
50㎝の巻き尺にて中央を指さし、中央からのずれで評価
・中央からのずれが15㎝より大きいと0点
・15㎝から5㎝では1点
・5㎝から2㎝では2点
・2㎝より小さい場合は3点
〇言語機能
理解面と表出面で評価
・全失語なら0点
・重度感覚性失語なら1A
・重度運動性失語なら1B
・軽度失語は2点
・失語の所見がない時は3点
〇認知機能
RCPM、MMSE
結果
今回の研究より3つの結果が挙げられていました。
①【MMSEのみの低下】であれば、【MMSEとRCPMの両方とも低下】のない症例と比べて在院日数が長くなる。
②【RCPMのみの低下】では、退院時FIM-Mは低下し、在院日数が長くなる。
③【両方とも低下】すれば、同様に在院日数は長くなり、退院時FIM、FIM-M利得、1日および1単位あたりのFIM-M効率はさらに低下する。
MMSEとRCPMの評価の結果で研究の結果に違いがみられた要因として以下のことが挙げられていました。
MMSEとRCPMはどちらも認知機能を反映する課題であり、相互に相関を認めたと思われるが、MMSEは評価項目に言語課題が多く、左半球機能を反映するのに対し、RCPMは主に視空間認知に起因する右半球機能を反映する。そのため、MMSEとRCPM得点に乖離がみられたと考えられた。
結果として、言語性知能に比べ、非言語性知能の方が退院時のADL改善に影響が大きいことが明らかとなった。
まとめ
今回の論文の内容から僕が思うこと
高次脳機能障害の患者に対しての動作に対するフィードバックで上手く利用できないか
僕自身が担当していた患者にも失語症を認めていた患者がいましたが、その患者は状況判断が良く出来ていたため、こちらの動作を見て、真似をしていました。
結果、口頭で指示理解困難な患者に対してもADL改善が見られました。
また、動作を獲得できたことにより、リハビリ意欲も向上しました。
高次脳機能障害は様々な症状があり、どの患者にも対応することは難しいかもしれないですが、視覚や触覚などの非言語性知能から介入することで高次脳機能障害がある患者もADL改善にあきらめなくても良くなるのかなと思いました。
まだまだ勉強不足なので、みなさんの非言語性知能に対する考えを教えていただければ幸いです。
それでは、今回はこれで終了です。最後まで読んでいただきありがとうございました。