こんちにわ、彷徨うPTです。今回は介護保険制度の基本的な概要についてまとめました。
病院に勤めていると退院支援の際に、あまり介護保険の利用方法を気にしていないことが多いと思います。ですが、患者さんを本当の意味で社会復帰させるためには機能改善のみでなく、介護保険などの制度についても理解する必要があります。
なので、簡単に復習する感じで見ていただければと思います。
介護保険が導入されるまでの流れについてもまとめていますのでよければ見てください↓
基本理念
1960年代から高齢者福祉政策がはじまり、介護は家族個人の問題であったのが、社会全体の問題となりました。
そこで、社会全体で支える仕組みづくりとして、2000年より介護保険制度が始まりました。
その為、社会全体で支える仕組みを作り、それぞれの介護問題に対応する仕組みとして、介護保険制度に以下の3つの基本理念が挙げられました。
種類
介護保険には2つの種類があります。それが、第1号被保険者と第2号被保険者です。
以下にその特徴をまとめました。
基本的には65歳以上が対象となりますが、特定疾病を患っている40歳以上の方の場合も介護保険の対象となる場合があります。
因みに特定疾病とは…
心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。
現在は以下、16の疾病のことを指しています。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】 - 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険料の支払いについて
介護保険料の給付は、第1号被保険者の場合、本人の所得によって自己負担が1~3割と変動します。
本人の所得や同居者の有無、年金との合計金額によって負担割合が変わってきます。
厚生労働省でわかりやすくまとめているので、そちらを参照していただければと思います↓
第2号被保険者の方は1割負担となります。
支給額は要介護度別に月々の限度額が決められています。介護サービスの単価は「単位」で記載されています。介護保険料の支給限度額も「単位」で記さています。
概ねの要介護度別にみた支給限度額は以下のようになっています。
要支援1 | 50,030円 |
要支援2 | 104,730円 |
要介護1 | 166,920円 |
要介護2 | 196,160円 |
要介護3 | 269,310円 |
要介護4 | 308,060円 |
要介護5 | 360,650円 |
これらをもとに、ケアマネジャーは本人の要介護度を確認し、その方の経済面や求めいていることを確認したうえでサービス内容を検討しています。
当たり前ではありますが、支給限度額の範囲内でサービスを使用すれば自己負担は1~3割となりますが、支給限度額以上からは全額自己負担となります。
要介護認定の手続きの流れ
要介護度認定されるためには、はじめに市町村の窓口にて相談し、要介護認定の申請を行います。
要介護認定までの流れを簡単にまとめると、
申請 → 一次判定 → 二次判定 → 要介護認定
となります。
一次判定では…
主治医の意見書と市区町村より認定調査を行います。
認定調査では、本人の心身の状況について調査を行います。
それらにより、これら2つの結果をコンピューターにて現在の状況を判定します。
二次判定では…
主治医の意見書と一次判定の結果をもとに、介護認定審査会で要介護度を判定されます。
介護認定調査会とは、保険・医療・福祉の学識経験者により構成されており、介護認定の申請を公平かつ公正に審査・判定しています。
二次判定終了後、要介護度が決定します。
また、判定結果に不服があれば、不服審査を行うことも可能です。不服審査は判定結果から60日以内までなら実施可能です。
要介護度別の介護サービス
最後に、要介護度別に受給可能な介護サービスについて話します。
介護サービスには、介護給付、予防給付、総合事業の3つがあります。
要介護1~5の場合は介護給付
要支援1~2の場合は予防給付と総合事業のサービスを受けることが可能です。
介護給付の内容は、施設サービス、居宅サービス、地域密着型サービスがあります。
○施設サービス
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設
○居宅サービス
訪問介護、訪問看護、通所介護、短期入所 など
○地域密着型サービス
小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、
夜間対応型訪問介護 など
予防給付の内容は、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービスがあります。
○介護予防サービス
介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリ など
○地域密着型介護予防サービス
介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護 など
総合事業とは、
これまで市区町村で行われていた介護予防事業を、介護認定の申請を行っていない高齢者や要介護認定の申請をして非該当者となった高齢者に対してもサービスを利用することが出来るようになるサービスの事です。
その為、要支援者と65歳以上のすべての高齢者が対象になります。
従来の介護サービスだけでは支えきれなかった高齢者にもサービスを利用してもらうことで、なるべく介護を必要としない暮らしを続けられるようにすることが目的です。
総合事業の内容は、介護予防・生活支援サービス事業、一般介護予防事業があります。
○介護予防・生活支援サービス事業
訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援サービス
○一般介護予防事業
介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、地域リハビリテーション活動支援事業 など
まとめ
今回は介護保険制度の概要を簡単にまとめさせてもらいました。
病院で働いていても介護保険について知ることはとても重要です。
機能回復のみでなく、退院後の生活環境や生活様式を把握し、どういったサービスを利用されるのかを把握することで、患者さんにとってよりQOLの高い生活に近づけることが出来ると思います。
なので、今回の内容がみなさんの退院支援の助けになれば幸いです。
それでは、今回はこれで終了です。最後まで読んでいただきありがとうございました。