ヘルスプロモーションとはなにか

こんにちわ。彷徨うPTです。今回はヘルスプロモーションの概要について話そうと思います。

厚生労働省が健康日本21などでも取り上げており、この100年時代と言われている現代において、大きなトピックスになると思います。

しかし、その内容についてはあまり知られていないと思います。そこで、今回は簡単に概要や経緯、実際の取り組みついて話させてもらいます。

この記事を読んでいただき、今後の理学療法士の働き方についても考えてもらえればと思います。

ヘルスプロモーションの概念

そもそもヘルスプロモーションとは、WHO(世界保健機関)が1986年のオタワ憲章において提唱した新しい健康観に基づく21世紀の健康戦略で「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善できるようにするプロセス」と定義されています。

これだけでは、いまいちどういう意味か分からない人も多いと思います。

人々が健康増進するためには、介護予防や健康増進のために知識やスキルを身につけることは重要です。しかし、あまり健康に対して意識が低い人の意識を変えることや1人で健康増進に取り組んでいる人は、行動変容させることや継続して活動することは難しいものです。そのため、人々を取り巻く、社会環境の改善や法規制の整備にも取り組み、本人の持っている健康に対する知識だけでなく、周囲の環境も変化させて健康増進に取り組みやすくするプロセスも整備する必要があります。

ヘルスプロモーションはこの点に注目し、健康的な公共政策や健康を支援する環境づくりをとりわけ重要ととらえています。

図 出典:大阪市 健康おおぶ21プラン推進会議より

目的

今の概念に関する説明を聞いて、ヘルスプロモーションは健康増進が目的と思われるかもしれませんが少し違います。

1986年のオタワ憲章で「健康というのは日々の暮らしの資源の一つとしてとらえられるものであり、生きるための目的ではない」と明言しています。

健康になったうえでより良く生きることを目的としています。さらに言うと病気が完治しなくても、今の生活をよりよく生きることを重要としています。

その為、ヘルスプロモーションの特徴として以下の4つが挙げられます。

1.健康課題ではなくQuality of Lifeの向上にゴールを設定

ゴールは、人々のQuality of Lifeの向上、つまり人々の幸せな生活です。健康は人々が幸せな生活を送る資源として捉えています。

2.主役は住民、ライフスタイルに着眼

幸せな生活を送るのも、健康になったりならなかったりするのも住民一人一人であり、主役は住民です。そして、健康には毎日の生活(ライフスタイル)のあり方が影響を与えるため、ライフスタイルに注目します。専門家や周りの人たちは住民の健康づくりの後押しをするサポーターです。

3.本人に対する健康教育だけでなく環境の整備をも視野に入れている

ヘルスプロモーションでは、「健康教育」で知識や技術の提供を行うだけでなく、健康づくりが行いやすい環境づくり(ソフト面・ハード面)も同時に行います。

4.生活のあらゆる場を健康づくりの場としている

健康づくりは人々の生活の場で行います。具体的には、家庭、地域、学校、職場、道路、公園、駅、病院などいろいろな場所が考えられます。

出典:NPO法人ウェルビーイング より

実際のヘルスプロモーションの取り組み

次に、ヘルスプロモーション研究センターで取り上げられている、実際に行われているヘルスプロモーションの取り組みの例を1つ紹介させてもらいます。

兵庫県養父市のフレイル予防の取り組み

■取り組みの経緯

兵庫県養父市で、住民や市の職員、研究者などが集まり、今後の健康づくりのあり方を議論した際に、フレイル予防の必要性や身近な場所に健康づくりの場を広げたいと話が出てきたとのことです。

すでに、交流や体操などを目的としたサロンが市内111カ所に開設されていたとのこですが、「体操や健康教室の参加者はごく少数」であり、「短期間実施しても教室が終了すると一度改善した健康状態が元に戻ってしまった」などの意見があったとのこと。

その為、「高齢になっても歩いて通えるような身近な場所(行政区ごと)に、誰もが継続して参加できるフレイル予防教室を開設する」という目標を掲げ、その実現に向けて取り組むこととなった、とのことです。

■取り組み内容

取り組み内容は以下になっています。

●行政区ごとに教室を開催するには人材不足のため、「研修を受けたシルバー人材センター会員」が仕事の一環として市内の各地区へ出張し、教室を運営する。

●地区の役員に対して、協力が得られるように実態把握調査の結果を地域自治区ごとに冊子にまとめるなど地区の実態を「見える化」し、研修会を開催して地域ぐるみでフレイル予防に取り組む必要性を訴えた。

●東京都健康長寿医療センター研究所が開発した、運動・栄養・社会プログラムから成る「フレイル予防プログラム」を養父市の高齢者に適した内容・実施頻度となるようアレンジし、プログラムを作成。

●教室を実施する傍ら、保健師がリーダー的住民を見つけて継続方法を共に探るなど、継続化に向けた支援を行う。

■取り組みの結果

この取り組みを実施することで、実施した地区の全てが教室の自主運営化に成功したとのこと。また、参加者からは「今まではほとんど家の中で過ごしていたけど、ここなら参加できる」「笑う機会が多くなった」「腰痛が楽になった」などの声が聞かれたそうです。

この活動で挙げられているポイントは以下の4つでした。

①健康寿命を延伸するには、フレイルを先送りするための地域環境の整備が不可欠

②養父市では、高齢になっても歩いて通えるように行政区ごとにフレイル予防教室を開設

③担い手不足を解消するために、「教室運営をシルバー人材センターの仕事の1つに位置づけ、研修を受けた会員が各地に出張して教室を運営する」という仕組みを構築

④単に委託するのではなく、保健師のコーディネートが成功の鍵

まとめ

今後、地域包括ケアシステムなどにより、地域全体の活動に注目が向きやすくなると思います。セラピストも現在の社会的立ち位置や医療費削減の影響により、病院や施設外で活動される方が増えてくると思います。

その為、ADLや機能改善のみでなく、QOLや予防医学の分野にも視野を広げることで、今後のセラピストとしての考え方や活動範囲が大きく変わってくると思います。

今回の内容がみなさまの今後の働き方の一助になっていただければ幸いです。

それでは、今回は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。