【論文メモ】脳卒中片麻痺患者の体幹筋力の左右差には股関節周囲筋の麻痺が影響する

こんにちわ、彷徨うPTです。今回は「脳卒中片麻痺患者の体感筋力の左右差には股関節周囲筋の麻痺が影響する」の要約と僕の考察をまとめました。

 

今回読んだ論文

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/30/3/30_449/_article/-char/ja/

 

目的

体幹筋は大脳皮質および脳幹から両側性神経支配を受ける。

脳卒中などにより一側の大脳半球が障害されても、反対側からの神経支配は残存しているため、運動麻痺による機能の左右差は生じ難いはず。

座位での麻痺側体幹筋の筋力低下は、体幹筋自体の麻痺によって生じるのではなく、

股関節周囲筋の麻痺によって骨盤の固定性が低下するため、間接的に麻痺側体幹側屈筋力を発揮できない状態にあると考えた。

その為、骨盤を固定することで、脳卒中片麻痺患者における体幹側屈筋力の左右差に股関節周囲筋の麻痺が影響するか検証。

対象

A法人(仮)の回復期リハビリテーション病棟に入院していた初発脳卒中片麻痺患者で、端座位保持が自己にて可能であった 9 名。

●疾患

脳出血3名、脳梗塞6名 麻痺側は右5名、左4名

●下肢Brunnstrom recovery stage(以下、BRS)

IV 4 名、V 2 名、VI 3名

●発症からの期間

平均78.3±35.2日

方法

対象者の体幹側屈筋力と麻痺側における股関節部の運動麻痺の程度の測定方法

●体幹側屈筋力の評価

■測定機器

体幹側屈筋力の測定は徒手筋力計(ANIMA 社製 µ -Tas F1)を使用

ANIMA 社製 µ -Tas F1

■測定肢位 (Bohannonの方法を参考 参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1428392)

足底は接地せず、体幹を直立させた端座位

両上肢は体幹前方で組ませ、対象者の肩峰直下の上腕近位部に筋力計の圧センサーをあて、麻痺側および非麻痺側方向へ体幹側屈を行わせ、等尺性最大筋力を測定。

※測定の際に上肢が体から離れ肩外転運動が起こらないよう事前に説明し注意した

 

■測定条件

測定の際に、Bohannon の方法に準じ、【骨盤固定なし】【骨盤固定あり】の2条件で実施。

【骨盤固定なし】

骨盤を固定せず、大腿部のみを検査者の徒手とベルトで治療台に押し付け固定する条件

 

【骨盤固定あり】

上記の大腿部の固定とともに、もう一人の検査者が徒手で骨盤を後方から治療台に押し付け固定する条件

 

体幹側屈筋力は【骨盤固定なし】【骨盤固定あり】の順に、いずれの条件においても非麻痺側から測定し、その後麻痺側の順で行った。

※測定開始前に体幹前後屈、回旋運動が生じないようにすること、上肢を外転して代償させないことを説明し注意した

 

●股関節部の運動麻痺の評価

■Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の下肢近位テスト

股屈曲得点を0~5点で判定

結果

今回測定した体幹側屈筋力の結果では、【骨盤固定なし】において有意な左右差を認めた。

この左右差の程度と麻痺側の股関節周囲筋の運動障害の程度(SIAS股屈曲得点)に有意な相関を認めた。

これらのことから【骨盤固定なし】における体幹側屈筋力は麻痺側の股関節周囲筋の麻痺の影響を受け、左右差が生じていたと考える。

一方【骨盤固定あり】の条件では、検査者が直接的に骨盤をより強固に固定することで、股関節周囲筋による骨盤の固定の必要がなくなった

これにより下肢の影響を除いた体幹側屈筋力の測定が可能となり、左右差が生じなかったと考える。

今回の論文より引用

まとめ

今回は、脳卒中患者の股関節周囲筋が体幹筋力に影響を及ぼすかの検討であった。実際、臨床で様々な患者を治療しているとこういったケースは遭遇することがよくあると思う。しかし、一概に影響しているとは限らない。

その為、1つの指標として考えることが必要であると思う。よく見るケースであるが見落としてしまう評価部分でもあるので、念頭に入れる必要があることではあると思う。

この記事が脳卒中患者の評価の見直しになっていただければ幸いです。

それでは、今回はこれで終了です。最後まで読んでいただきありがとうございました。