結局のところ施設入所高齢者には運動療法って意味あるの?

こんにちわ、彷徨うPT(@samayouPT)です。

以前行われた第60回近畿理学療法学術大会にWebで参加させていただきました。

いくつか教育講演を見させてもらったのですが、1つ気になるClinical Questionについて話しているものがありました。

 

「施設入所高齢者に対する運動療法(筋力強化運動、バランス練習、歩行・ADL 練習、有酸素運動)は推奨されるか」

 

これは地域理学療法ガイドラインに載っているClinical Questionです。

僕は現在、老健で働いており、いつも気にはしている内容でした。急性期病棟や回復期病棟はリハビリの頻度が多いですし、患者さんの体がそもそも改善している時期です。その為、基本的に入院時と退院時で比べると身体機能やADLが改善していることが多いです。

しかし、老健など生活期になると病院に比べ、リハビリの頻度は少なく、身体活動量が減少傾向です。また、利用者さんの体の回復具合も病院に比べ落ち着いています。

そこで今回は利用者さんに対する運動療法に効果があるのかガイドラインに載っている見解と実際に僕が働いていて思った個人的な見解について書きます。

 

今回、参考にしている資料↓

施設入所高齢者に対する運動療法(筋力強化運動、バランス練習、歩行・ADL 練習、有酸素運動)は推奨されるか

 

※あくまで一個人の見解ですので、参考程度に読んでいただけると幸いです。

 

地域理学療法ガイドラインの見解

ガイドラインでは「筋力」、「バランス能力」、「歩行能力」、「ADL」、「身体活動量」、「精神心理機能」の6つのアウトカムから以下のようなエビデンスが記載されていました。

システマティックレビューの結果、該当する論文は 25 編あり、アウトカム別にみると筋力は 9 編 、バランス能力は 7 編 、歩行能力は 16 編、ADL は 7 編、身体活動量 2 編 、精神心理機能 12 編 であった。

アウトカムのエビデンスの強さについて、

筋力の指標である膝伸展筋力は[非常に弱(D)]、握力および立ち上がりテストでは[弱(C)]であった。

バランス能力の指標である片脚立位保持時間、BBS(Berg Balance Scale)はいずれも[弱(C)]であった。

歩行能力について、最大歩行速度および TUG (Timed Up and Go)は[弱(C)]、通常歩行速度および 6MWD(6 minutewalk distance;6分間歩行距離)は[非常に弱(D)]であった。

また、日常生活動作能力について、BI (Barthel Index)は[非常に弱(D)]、FIM (Functional Independence Measure)は[弱(C)]であり、

身体活動量は[弱(C)]であった。

精神心理機能(Geriatric depression scale;GDS、Mini Mental State Examination; MMSE)はいずれも[非常に弱(D)]であった。

 

結果としてはエビデンスの強さは、[弱(C)]または[非常に弱(D)]であったため、全体的なエビデンスの強さは[弱(C)]というふうに記載されていました。

さらに以下のようにも記載されていました。

メタアナリシスの結果、施設入所高齢者に対する運動療法の望ましい効果として、

日常生活動作能力において有意な効果が認められている【FIM(4 件);SMD 0.18, 95%CI 0.03~0.33、BI(5 件);SMD 0.57, 95%CI 0.00~1.14】。

筋力、バランス能力、歩行能力、身体活動量、精神心理機能には有意な効果が認められなかった。

これらをまとめると、

日常生活動作能力の改善を目的とする場合は運動療法は推奨される

という結果となりました。

 

僕個人の見解

次に僕個人の見解についてです。

結論から言うと、

運動意欲・精神機能・フレイルの状態によって運動療法は推奨されるか決まると思います。

この見解に至った理由として、利用者さんのHOPEに近づくために運動療法を推奨するかという軸で僕は考えているということです。

その為、この3つの状態が良いから運動療法で身体機能が改善する、ADLが向上するといった意味ではありません。

むしろ現状の理学療法ではガイドラインに載せていることが事実だと思います。

しかし、ガイドラインの内容だとエビデンスが弱いため、運動療法は意味がないと捉えるのは早いと思います。

運動療法は身体機能の改善やADLの改善が全てではないと僕は考えています。

運動療法は利用者さんのHOPE獲得のために実施している1つの手段だと考えています。

例えば、運動療法を実施して状態は大きく変わらないが利用者さんのQOLが向上するのであれば、実施している意味はあると思います。

また、施設入所高齢者に対して運動療法を実施しても身体機能が改善しないかというと全ての人がそうとは限りません。

身体機能やADLが改善される方もいます。そうするとなおさら運動療法は推奨するべきかなと僕は考えています。

 

 

まとめ

今回は施設入所高齢者に対する運動療法の効果についてエビデンスと僕個人の見解について書かしてい頂きました。

施設入所高齢者以外にも生活期リハビリ全般でリハビリの意義をあまり理解されていない人って多いと思います。

しかし、本当はどの時期においても身体機能が改善する場合はありますし、運動療法自体に意味がないとは言えません。

病院で働いている方もこの機会にリハビリとは何か是非考えていただけると幸いです。

それでは今回はこれで終わります。最後まで読んでいただきありがとうございました。