こんにちわ、彷徨うPT(@samayouPT)です。
みなさんはフレイルという言葉を聞いたことはありますか?
高齢化が進み、よく取り上げられている言葉なので色んな資料やテレビでも見かけることはあると思います。
しかし、病院で働いているとリハビリ中にフレイルのことまで気にしていなかったりすると思います。
名前は聞いたことあるけどそもそもフレイルってどういう意味?と思っている方もいると思います。
フレイルが悪化すると介助量の増加やQOLの低下など、悪影響がとても大きいです。
今後、2025年問題などのことを考えると僕たちセラピストは全員知っておいたほうがいい知識であることは間違いありません。
そこで、今回はフレイルとはなにか、フレイルについてどのようなことを考えるべきかについて基本的なことを書いていこうと思います。
そもそもフレイルの定義についてですが、以下のように書かれています。
老化に伴う種々の機能低下(予備能の低下)を基盤とし、さまざまな健康障害に対する脆弱性が増加している状態
参照:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分類 老年学 第4版
また、鈴木ら(2015)が行った「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」では以下のようにも言われています。
加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方では適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像
つまり、高齢者の中でも健康な状態と要介護状態の中間を意味していると考えられます。
また、フレイルの高齢者はこちらからの介入や支援によって健康な状態に戻ることも可能でもあります。
さらに、フレイルは「身体的な問題」だけでなく、「精神・心理的問題」、「社会的問題」など包括的な概念とも言われています。
高齢者がフレイルがそうでないかを判定する方法として、Friedらが「①体重減少、②筋力低下、③疲労感、④歩行速度の低下、⑤身体活動の低下」の5つの項目のうち3項目以上に該当した場合と定義していました。
また、日本でも同様にこの5つの項目のうち、3項目以上該当した場合、フレイルと判断しています。具体的な内容としては以下のように判定しています。
しかし、この判断基準を元に研究による検証は不十分なため、あくまで基準の内の1つであり、参考程度に確認することが望ましいと思います。
フレイルに陥る流れとして、
身体活動の低下➡エネルギー消費の低下➡食欲の減退から低栄養を引き起こす。
その結果、体重減少、筋量の減少➡筋力の低下、疲労感➡歩行速度の低下や身体活動の低下
さらに、それが再び身体活動の低下へとつながる
と報告されています。
このような流れをフレイルサイクルと言います。
このようなフレイルサイクルに陥らないための予防・改善方法として以下の6つの取り組みが必要になると言われています。
①慢性疾患のコントロール
高血圧や糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、そういった慢性疾患の管理が出来ていないとそこから身体機能の低下、身体活動量の低下に繋がる恐れがあります。その為、フレイルの悪化に繋がる恐れがあるため慢性疾患のコントロールは重要になります。
②運動療法
身体活動量の低下、体重減少、筋量の減少、筋力低下といった廃用症候群などフレイルサイクルに大きく影響している要因に対して身体機能の維持・向上のために効果的です。
③栄養管理
体重減少や筋量の減少を防ぐために、タンパク質やエネルギー摂取量の増加は必要になります。その為、日々の食事量やタンパク質の摂取はフレイル予防・改善に大きく関与してきます。
④感染予防
高齢者は免疫機能が低下しているため、インフルエンザや肺炎を患いやすく、感染症により寝たきりになる可能性があります。その為、フレイル予防に重要な要因となります。
⑤認知機能向上・心理状態改善
認知機能低下を認めている高齢者はフレイルになる可能性が高いと報告されています。その為、認知機能を改善することはフレイルの発生を予防するとされています。
⑥知的・社会活動
高齢者は社会的地位や役割、家族との関係を失うと活気や気力が失います。その為、家に閉じこもりがちとなり、身体活動量の低下や筋力低下など身体機能の障害を認める恐れがあります。結果、フレイルの悪化に繋がる恐れがあります。その為、社会活動などに参加し、当人が家に閉じこもらないうように関わっていくことは重要となります。
病院に入院されている患者さんは退院までにこれら6つに対してどのように関わっていくかを考えることで、退院後のフレイル予防に繋がると考えます。